2014-03-31

宇宙詩第一稿テスト送信

「宇宙詩 (cosmic poem)」は芸術衛星INVADERにコードとしての詩を送り、INVADERに搭載されたMissionOBC「Morikawa」上の合成音声チップ(AquesTalk pico LSI/ATP3011F1)がそれを発声し、430.200MHzのFM電波に乗せて地球に向けて送信する「コード音響詩 (code-sound poetry)」のプロジェクトです。2014年3月31日に、この宇宙詩第一稿のテスト送信を行いました。 コードから生み出される音声は、通常の意味での言葉を使った詩ではありません。それは1910年代後半から1920年代にかけて、世界中で同時に発生し連携した芸術運動、ダダイズムの中から生まれた「音響詩」をベースにしています。文法や言葉の意味を捨て去り、今まで存在しなかった言葉を生み出そうとした音響詩は、過去への決別と同時に、同時に普遍的かつ始原的な音声言語を目指そうとしたもので、その後の実験的な文学、音楽の動きに大きな影響を与えました。 この宇宙詩のプロジェクトでは、現代の日本における音響詩の第一人者である足立智美と共に、音声合成チップへのコマンドとしてのコードが書かれ、それがINVADER上で音声に変換されます。まず最初にテスト送信されたのは、ドイツのダダイズム運動の中心人物であり、音響詩の歴史に多大な貢献をしたラウル・ハウスマンのポスター詩クルト・シュヴィッタースによるウア・ソナタ、そして同時代に飛翔への想像力を駆使して書かれた小説をものした稲垣足穂の《一千一秒物語》からの一節をパラフレーズした第一稿で、それらが大変短い123バイトのコードの中に凝縮されています。 fuuuuuuuuuu;mu,;poppo tsukikibowo,o;o;ooooochi_suchi_kuchi_suchi_kuchi;pogosama;pogosama+poppo+poggo,ochitamuuuuun?ku;biee? このプロジェクトでは最終的には夏至の6月21日前後に世界各地の上空でコードを発声することを予定しています。いずれの言語にも属さない音響詩の伝統は、この地球を超えた衛星芸術の試みに、まさにふさわしいものといえるでしょう。 久保田晃弘 多摩美地上局にて JA0CAWさんより